私たちのビジョン
都会の川を ”ただ通り過ぎるだけの川” から
”目的地となる川” へと変えていく
大都市の川や海は、高度成長期に比べればずいぶんと綺麗になりました。しかし、雨が降った後の川の臭いと景観の問題は、依然として解決されていません。得もいわれぬ臭いに、呼吸を浅くしながら足早に川を通り過ぎた経験がある方は少なくないでしょう。
大都市の川や海の臭いと濁りの問題は、合流式下水道を採用していることが一番の原因です。この原因を取り除くべく、私たちは下水道に対するイメージの改善から取り組んでいきます。
私たちの目標
下水道に対するイメージの改善
地下に埋設された下水管と、目立たない場所に配置された下水処理場により、都市の衛生は保たれています。下水道無くして、人口過密の都市で人間が住み続けることはできません。目立たずひっそりと社会を支えることができるのも、社会インフラの魅力だという意見もあります。しかし、目立たないが故に、正しい理解がされていないという実情もあるかと思います。 最新の下水処理技術がどうなっているか、皆さんはご存じでしょうか。その昔、まだ小学生だった時代に見学した下水処理場のイメージが強いのではないでしょうか。これから、老朽化した下水処理場の全面改築事業が始まります。ぜひ、私たちの提案する新しい「未来の下水処理場」の実現にご協力ください。必要な技術は既に確立されています。足りないのは「実現させる」という合意形成と、意思決定です。
水インフラのアップグレード
大都市の水インフラは、半世紀以上前に建設されたものがほとんどです。老朽化した設備は、段階的に更新されつつあります。しかし、採用される更新方法はコストと消費電力を抑えながら従来の機能を維持する方法となるケースが多いです。 大都市は、地方都市に比べていち早く下水道の整備に取り組んだが故に、合流式下水道を採用しているという課題を抱えています。早く発展してしまったが故に、古いインフラに足を引っ張られているのが実情です。一方で、地方では分流式下水道の恩恵に与ることができています。地方の税収不足の多くを補っているのは、大都市の税金です。この不都合な真実は解消されるべきです。すなわち、大都市における合流式下水度の分流化を推進するべきと考えます。 下水道のイメージが変わり、皆様のご協力が得られることになれば、都市部の水インフラを理想的な姿にアップグレードすることができます。川遊びや美しい海でのレジャーを楽しむため、何時間もかけて飛行機や車で移動する時代から、その次の時代へと向かいませんか。
下水道業界および働く人々への評価の向上
実のところ、過去1000年で最も重要な医学の進歩は、ペニシリンでも、薬でも心臓移植でもないのです。水処理の重要性に気づいたことこそが、人間にとって大きな進歩だったのです。これはイギリスの下水処理コンサルタントであるスティーブ・チャーチハウス博士の言葉です。 これだけ重要な役割を担っている下水道ですが、はたしてそれに見合う社会的な評価を得られているでしょうか。私たちは、下水処理場のイメージの変化を契機として下水道の貢献を広く皆様に認識していただくと共に、身近にある川に触れ合いたいという潜在需要を実現することで、下水道に関わる人々への評価の向上を目指します。
日本にもサグラダファミリアを創ろう
大都市の河川を更に浄化するためには、現在普及している合流式下水道を分流式に変えていくことが不可欠です。この作業は、途方もなく長い時間を必要とすることでしょう。それはバルセロナのサグラダファミリアの建設事業に喩えられるべきものかもしれません。しかし、都市に住む市民のみなさんの一人ひとりの胸の中には、近所の美しい川で遊び、語らい、寛ぐことを求める想いがきっとあるはずです。 1882年に着工したサグラダファミリアは最近まで完成に300年以上かかるものと予想されていました。しかし最近になって、当初の約半分の工期(2034年)で完成する見込みであることが発表されました。それを可能としたのは、建築技術とICT技術の発達でした。我が国の大都市の下水道は半世紀近い年数をかけて整備されてきました。初期に建設された下水管は、老朽化により更新が求められています。サグラダファミリアのように、下水管の更新も思ったよりも早く完了できるのかも知れません。しかし、その前に私たちは声を上げる必要があります。現状維持ではなく、変化を求めると。 最後までお読み頂きまして、本当にありがとうございました。